木材のステッカーマーク
ステッカーマークについて。
ステッカーマークって聞いたことありますか?
↓ これの事なんですが、一般的に「桟木の跡」なんて言っていたりします。
特に弊社の場合、天然乾燥材を中心に取り扱っているので、これについて問い合わせがよく来ます。
実は先日もこの説明に現場にお伺いしたばかり。
この跡は何?
これは不良品では?
この材料には問題があるのでは?
この線の跡なんで付いちゃったの?
と、疑問に思われる方も多いかと思いますので、せめてこのページをご覧になられている方だけにでもご理解を頂ければと思い、せっせと文章を書いてみました。
丸太を製材した後は「桟木」という隙間を開けるための棒を使って、製材品を積み上げていきます。これを業界では「桟積み」と言っていたりします。
こうする事で、材と材の間を風が抜けて、木材が乾燥していきます。
弊社の場合、大きさや用途によっても異なりますが、短いもので3か月、長いものでは数十年・・・
こんな感じでそのまま自然に屋根の付いた風通しの良い所で保管して乾燥するのをひたすら待ちます。
こうした工程を経ると、桟木が触れている部分とそうでない部分では、乾燥速度や酸素量に違いが出て、仕上げ時に表面を削り取っても、桟木が接していた部分の跡が残ってしまう。
これが「ステッカーマーク」なんですね。
学術的には木材中に含まれるフェノール物質が酸素と反応し着色物質に変わることで、こうした桟木の跡が付いちゃう。って事らしいのですが、この跡は樹種や木材の部位によっても付き方が異なり、桧や杉の白太(辺材)等の場合は元々の色が薄い色をしているのでステッカーマークは付きづらく、杉の赤身(心材)などの色の濃い部位はとても付きやすいというのが現状です。
さて、このステッカーマークどうしたもんだろ。
栃木県の林業センターでは今年2月の研究発表会で「ステッカーマークの残存しない乾燥方法」という研究課題の発表がタイムリーな感じで行われました。
結論から言えば、未だ研究継続中の途中経過発表という事らしいが、面白い内容でした。
要点をまとめて簡単に説明すると、桟木の触れている面とそうでない面では、乾燥速度と乾燥温度に差が出るので方法としては「人工乾燥を用いて材の温度を均一に上昇させた後一気に水分を抜く」ってのが有効らしい。
桟木を熱伝導率の高いアルミに変えたり、桟木の形状を変えたりしながら研究したようだが、最終的にはこの方法が最も良い結果になったそうです。
ん~・・・
この方法は弊社の乾燥にはちょっと合わないかな… が感想。
どちらかといえば大量生産的にはいいのかもしれないが、弊社の場合出来る限り人工乾燥から天然乾燥へと移行しているので、あまり高い温度は使いたくないし、乾燥初期に熱を使うのはちょっと避けたい気もする。
という事で、林業センターの更なる研究結果を期待して待つことにして、弊社の場合、出来る限り桟木の跡がつかないように「接地面を少なくする桟木での桟積み」や「風の通り抜けを良くする」「桟積み後は雨にあてない」等の原始的な?いやいや自然の摂理に従ったやり方でステッカーマークを減らす努力はしますが、どうしても色の濃い部位、特に杉の赤身(心材)にはステッカーマークが入ってしまうことが多々あります。
施工後はまだ木材の色がハッキリとしていてちょっと目立ってしまったりするかと思いますが、これは自然に乾燥させたマークとしてご理解を頂き、少しづつ期間を経るごとに薄く目立たなくなってきますので、ちょっとの間このステッカーマークとお付き合いいただければ幸いです。
by もりすぎ
コメント
You can follow this conversation by subscribing to the comment feed for this post.